薬師岳~黒部五郎岳~三俣蓮華岳~双六岳~新穂高温泉

夏休み、ぼくもpoohさんも1週間の休みが取れたので普段は行けない北アルプス縦走に挑戦することにした。
富山県側の折立から登り、薬師岳、黒部五郎岳、三俣蓮華岳、双六岳、新穂高温泉と抜けるコースである。早い人は二泊三日ぐらいで行けるらしいが、poohさんの腰痛が出るとまずいので余裕を見て四泊五日とした。


【目的地】薬師岳~黒部五郎岳~三俣蓮華岳~双六岳~新穂高温泉
【日時】2004年8月9日(月)~14日(土)
【メンバー】猿、pooh
【コースタイム】
●9日
 都庁地下駐車場 22:30
●10日
 有峰 05:35 - タクシー(2600円)- 折立 06:30~07:36 - 三角点 09:24~09:44 - ベンチ 10:27~10:40 - 太郎平小屋- 12:24~13:10 -幕営地 13:30
●11日
 幕営地 08:22 - 薬師岳山荘 09:53~10:07 - 東南陵 10:37 - 薬師岳山頂 10:59~11:31 - 幕営地 13:04
●12日
 幕営地 06:56 - 太郎平小屋 07:15~07:36 - 三角点 - 北ノ俣岳山頂 09:42~09:53 - 赤木岳 10:20 - 昼食 12:22~12:40 - 黒部五郎岳肩 13:30~13:35 - 黒部五郎岳山頂 13:50 - 黒部五郎岳肩- カール -黒部五郎小舎
●13日
 三俣蓮華岳山頂 10:40~11:39 - 双六小屋 14:09
●14日
 双六小屋発 07:00 - 鏡平小屋 08:25~08:47 - わさび平小屋 11:07 -新穂高温泉 13:20
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●9日
夜、都庁地下駐車場に集合して高速バスで有峰まで。7月の白馬山行と比べたらバス待ちの人は少ない。係員は荷物をトランクに入れたら目的地まで出せない”こと、車内は冷房が効くので上着を持って乗車するようにとちゃんと事前に給教えてくれた。それほど冷房がきつくはなかったが。
●10日
明け方、富山県の有峰に到着。最初の予定ではここからバスで折立まで行くはずだったが乗り合いタクシーがあり、料金はバスとほとんど変わらないというのでこれに乗る。バス待ち時間の30分ぐらい節約できただろうか。
折立でゆっくり朝食を取る。
登山口から樹林帯の中をすぐ急登。けっこうきつい道がしばらく続く。2時間弱歩いて三角点がある休憩所に出る。ここから先は傾斜が緩み道も広くなって公園の遊歩道のような石畳となる。
チングルマはすでに綿毛になっている。
やがて太郎平小屋に到着。生ビールをぐっと開けて満足。昼食を取り,テントで呑む缶ビールを購入し,歩いて15分ぐらい離れた幕営地に。受付小屋でも缶ビールを売っていた。小屋で買った缶ビールはあふれ流れている水につけて冷やす。
夜はキムチ鍋と焼酎。
問題は夜中だった。今回,poohさんの荷物を軽くするためにぼくの夏用シュラフを貸し,ぼくはインナーシーツとシュラフカバーで寝ることにしていた。いくら北アルプスでも真夏で好天なら問題ないだろうと。
ところがあまりに天気が良すぎたのか,夜は放射冷却で冷え込む。0時を過ぎたころに寒くて何度か目を覚ました。持っている服を全部着込み,ザックを空にしてその中に足を突っ込んだのだがそれでもダメ。朝までうとうとした状態が続いた。
●11日
目が覚めると他のテントはほとんど撤収していたが,ぼくらはゆっくり朝食を取って出かける。チキンラーメンだが,かさばってあまりおいしくない。
薬師岳山荘の手前あたりで,薬師岳山頂からハンググライダーが飛び出した。山荘で聞いたところ,前夜は山荘に泊まって山頂を目指したという。2機行ったのの1機目のフライトだったので,次のグライダーがテイクオフするのを待つ。
しかし,なかなかスタートしない。一度飛び出そうとして失敗したみたい。
あきらめて山頂を目指して歩き出す。山荘からしばらくは山頂が見えないのだ。まずは東南陵に登る。なんか小屋のようなものが見えたが,近づいたところ避難小屋?の廃墟だった。石で組んだ壁があるのだが,電話ボックスぐらいスペースしかないし天井もない。愛知大学山岳部遭難慰霊碑も建っていた。
東南陵から稜線を山頂に向かっているとパラグライダーが飛び出した。ゆっくりと空を舞っている。
ぼくらもしばらくして薬師岳山頂に到達。目の前に巨大な赤牛岳,遠くには槍が見える。
帰りはのんびりと下山。幕営地には昼過ぎに着いてしまったが,今日はこれ以上移動する予定はない。太郎平小屋まで戻り,生ビールを飲む。
さてテントに戻って管理小屋で夜用の缶ビールを買おうとしたら,本日の販売はないという。poohさんがブーたれてしまったので太郎平小屋まで戻って缶ビールを買ってくる。
夜はご飯を炊いて,おかずはゴーヤチャンプルー,ふじっこの煮豆,はりはり漬け。生のゴーヤ1本とパック入りの豆腐を持参し,肉と卵液が入ったレトルトのゴーヤチャンプルーの元でゴーヤチャンプルーを作った。
●12日
今日は移動日。やはり朝は冷え込んでいる。ここでトラブルが発生。朝は前夜のご飯で作ったおにぎりとみそ汁の朝食だったが,寒くて面倒なのでテントの前室でお湯を沸かしていた。そこに斉藤さんが帰ってきてバーナーにつまづいてしまい,火のついたバーナーがテントに大穴を開けるわ,テント内にはお湯が広がるわ,斉藤さんは手首をひねってしまうし,もう大変。
幸い,二人とも火傷とかは負ってないので荷物をまとめて出発した。
ただひたすら稜線を歩く。途中,登山道でテントを畳んでいる若い人のグループがいたがあんなところで幕営したのだろうか? ほとんどが女性だけど水もトイレもないし,幕営で起きるには遅すぎる。
黒部五郎岳の登りは,先が見えているようで,登るとまた先があり,ちょっとうんざりする。黒部五郎の肩でコアラさんにばったり。ちょっと前に山頂に行き,ちょうど降りてきたところだという。ついでなのでコアラさんも含めて3人で山頂に登り記念撮影。
ここで手帳用鉛筆の芯が折れてしまい,まともに記録がとれなくなる。
ちょっと急な坂を下りてカールの下に。登山道から少し山側に行ってみると雪解けのきれいな水がちょろちょろ流れている。すくって飲んでみるととても冷たい。これが黒部源流なのだろうか。
巨岩が転がる中を延々と歩いて今夜の幕営地,黒部五郎小舎に到着。太郎平小屋よりはだいぶ小さい小屋だ。小屋でガムテープをもらってテントの穴を応急修理。とりあえず風が入ってこないようにした。
この夜はエスプレッソパスタ,ピザ,海草サラダとやや洋風。だけど飲むのはビールに焼酎。ピザは冷凍ピザをそのまま持ってきて,アルミホイルでくるんでフライパンで暖める。もちろん冷凍はとっくに溶けているが,もともと水分が少ないので日持ちするのだ。
夜中,トイレに出たら流れ星がいくつも見えた。
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●13日
明け方は霜が降りている。朝食は永谷園麻婆春雨のラーメン風。実は朝食にラーメンを2回取るはずだったのだが,勘違いしてチキンラーメンを2個,1日分しか持ってこなかった。そこで2日目のおかずにするはずだった麻婆春雨をこの日の朝食に回したのだ。水を倍入れて煮るとラーメンのようになる。乾燥野菜をたっぷり入れて植物繊維を補給。
三ツ俣蓮華岳の手前,チングルマが花から綿毛に変わりつつあるのに遭遇。綿毛は雄しべ?みたいなものが変化していた。
そういえば三ツ俣山荘には行かなかったのだが,地代支払いの件で林野庁から営業停止命令を受け,裁判で争っていたのだが年末に最高裁で敗訴が決まった。どうなってしまうのだろうか。ここには岡大医学部が毎年診療所を開いている。
双六山荘は他の小屋と違ってグラスジョッキで生ビールが飲めるのがうれしい。
夜はコアラさん,タケちゃん,イトヤンと合流。小屋の前で宴会をする。夕食はご飯とフリーズドライのカツ丼などだったが,風が強くてなかなかご飯が炊けなかったのに加え,フリーズドライがあまりにもまずくてまいった。もう買わない。
●14日
笠ヶ岳に登るコアラさんたちと別れ,我々はいよいよ下山だ。朝食は前夜のご飯を使った雑炊。まずー。だんだん天気が崩れ,西鎌尾根や槍ヶ岳はほとんど雲の中。鏡平小屋で名物のかき氷を食べていたら雨がぽつぽつと降り出す。先を急いだがどんどん雨が強くなり,雨具を着ることに。道の横によけて着ていたのに,後ろから傘をさして降りてきた人が滑って転ぶ。なんかぼくが悪いみたいな目でずっとにらまれてしまった・・・
poohさんはワサビ平の先でフェレットを発見。ぼくは気付かなかった。
林道に出てしばらく行くと川辺に車が何台も泊まっている。斉藤さんは「オートキャンプしている」と言うのだが,ここは一般車が入れないはず。よく見たら河原でドラマのロケをやっている一行だった。「奥飛騨サスペンス××」だろうか。
ようやく新穂高温泉に到着。バス停前の無料温泉に入る。石けん・シャンプーが置いてないというので売店で1セット購入し,石けんはナイフで半分に切り,シャンプーは空いているフィルムケースに入れる。だけど,浴室には前の客が置いていった石けん・シャンプーがいくらでもあった。
バスで松本までたどり着いたら,いきなり夏の暑さでびっくりする。
これでぼくらの4泊5日幕営北アルプスは無事終わった。最終日以外は抜けるような,真っ青な空が広がっていた。忘れることができない夏になるだろう。