岡山大学新聞251号 1980年9月20日

新サークルBOX建設 住民が用地変更を要求

予想される騒音公害
「変更の余地はない」「学生の活動を規制する」学生部が回答

昨年、大きな学内問題となった新BOX建設計画は今度は、建設用地住民の反対をよびおこしている。岡大当局は、この新BOX建設を七一年化し、しかも昨年予算が下り、学生とも昨年十二月に建設を合意しておきながら、住民に対しては、今年六月工事をはじめる直前になって、はじめて伝えており、まず最初から住民に対する考慮は、ほとんどはらわれていなかった。そして、現在では、住民の反対によって一時停止していた工事も、住民の合意を得ぬまま、住民の主張を一切無視し、岡大当局は、強行している

新BOX map

新BOX建設用地周辺の住民が、新BOXの建設後予想される騒音等を理由に用地の移転を要求し、現予定地への新BOXの建設に反対している。

移転要求の理由としては住民は、サークルBOXは学生が自由な活動を行なう場であるため、音楽系サークルなどからの騒音はさけられないものであるし、新BOXは三階建てになるため、プライバシーの侵害、電波障害が発生するおそれがある。広い敷地を持つ岡大が、このように公害が発生するおそれのある場所にわざわざサークルBOXを建設するのは不合理だ。だから、学生の活動を保障し住民にめいわくのかからない場所に新BOXを建設すべきだ。というものである。

そして、住民は、移転要求をかかげ、7月2日以降現在まで、岡大当局と五回の交渉をもち、陳情書、要望書を小坂岡大学長あてに提出するなど活発な運動を行っている。

このような、住民の移転要求に対し、岡大当局は、この新BOX建設は七一年のマスタープランに基づいて計画されたものであり、用地についても、学内で十分に検討され"最適地”であると決定されたものであり、移転は不可能である。

また、騒音は、建物に防音設備、冷房設備を設置するほか、当局としては学生に自由に活動させるつもりはないので、学生のBOX使用を制限することにより解決する。プライバシーの侵害に対しては、南側の窓をスリガラスにし、ブラインドをつけ解決する。等の回答を行った。

しかし、この岡大当局の解答に対する住民の質問−たとえば、現用地が学内で”最適”だと決定した理由は何か、また、学内で最適であっても学外-周辺住民にとっては最適ではないのではないか、等に関しては岡大当局は、「学内のことに住民が干渉するのは櫓越」との態度をとるなど、一貫して不誠実な態度をとりつづけ、住民を無視した一方的解答のくり回しに終始している。

しかも、岡大当局の一方的解答は納得できないとする住民の話し合い要求に対して、岡大当局は、8月7日を境に、一切話し合いに応じなくなっており、ますます、住民の不信感をつのらせている。

「地域に開かれた大学」の本質

岡山大学は「地域に開かれた大学」をめざし、現在再編-整備計画が進められている。学長小坂も「地域に開かれ(地域と)ともに歩む地方国立大学でありたいと再編計画の抱負をのべている。

そして、今回の住民の反対運動をよび起こした新BOX建設は、まさに、この「地域に開かれた大学」の内実を如実に示すものだと言えるだろう。

岡大は一方で、教養部の拡張により、社会人再教育コース、市民公開公座を強化し、資本家のための人材養成に努めている。また岡山大学産業経営研究会などにより、直接に資本家のための研究活動も行っている。しかし、もう一方では、この再編-整備計画を、大学周辺住民の生活環境を犠牲にして、強行しようとしいるのである。

これは、岡大の再編−整備計画が、単に地域に開かれているのではなく、地域の資本家のために開かれることを目的としたものであるということを示すものである。

またこの再編計画は、昨年の新BOX問題、今年の廃寮攻撃で明らかになったように、学生管理強化、学生の自主的活動の圧殺を目的としたものである。

そのため、今回の、新BOX建設用地周辺住民の反対も、岡大当局は目的意識的に、サークル活動の規制にに利用しようとしている。

学友会は、BOX使用の現状(二四時間学生の自由使用、学生の独自管理)を認めるということを条件に新BOX建設に合意したもかかわらず、岡大当局は、住民に対し、「学生に自由活動をさせるつもりはない。騒音も、学生の活動規制よって解決する。」と発言しているのである。

岡大学生は、周辺住民を犠牲にし、学生の活動を規制する岡大当局に対し、住民と共に闘う必要がある。


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