岡山大学新聞 通刊238号 1978年9月30日発行

準備進む大学祭

十一月二十二日〜二十六日

 九月十八日午後五時より学生会館和室で開かれた第三回大学祭実行委員会で78年度大学祭基調が満場一致で承認され、つづいて実行委員の企画部、総務部、情宣部の各部局へのふりわけが行れ、今年の大学祭は実質的なスタートを切り、企画の受け付けも開始された。
 76年に大学祭の政治的利用を目的とした日「共」−民青の策動により大学祭実行委員会が崩壊し、同年、77年と学友会主催による「祭」がなされてきた中で実に75年以来三年ぶりに基調をもつ大学祭と言える大学祭、共同性の創出をつかもうとする作業の再出発がなされようとしている。
 今年も学友会総務委員会による78年度大学祭実行委員募集の当初より民青系の妨害が相つぎ、また現在の学内情況、個々バラバラの情況との対決という極めて困難な情況を切り開いていかねばならない。

小宮山実行委員長

 「議長!私は実行委員に応募したのになぜ名前を呼ばれないのだ、私は大学祭実行委員だ!」「そうだ!そうだ!」七月十四日学館大会議室で開かれた第一回大学祭実行委員会は冒頭から混乱を極めた。基調前置きにもある様学友会が実行委員として認めなかった二十数団体が会場に押しかけ、議長を無視して発言し、学友会総務委員会を糾弾しようとしたのである。
 「大学祭に向けて」の討論やその文章化を拒否したために学友会が実行委員として認め得なかったその団体とは、法経学生会執行部、法文サ連協、法学科経済学科のクラス、ゼミなど法経関係、そして部落研、うたう会などであり、それらの多くが民青系の団体である事はよく知られている。
 74年個人参加を認めた「第25回津島祭実行委員会」は多数派を牛耳った民青系による多数決の絶対化、少数意見の切り捨てを続け「…革新統一戦線の結成とその上にたつ政府の樹立が緊急な課題となってきている。」という日「共」のパンフの如き「津島祭アピール」を出した。この実行委員会は結局総括すら出せないまま崩壊してしまった。
 76年には彼らは募集の一カ月前に結成された、などという団体を実行委員会に送り込もうとして議事を空転、紛糾させ、最後には「津島祭アピール」よりもさらに露骨で醜悪な日「共」のスローガン丸出しの基調B案を提出し、75年の大学祭基調を継承する基調A案と妥協の余地はなく、76年大学祭実行委員会は崩壊せざるを得なかった。
 再々度大学祭実行委員会への介入を目論む民青系の議事妨害の中、学友会総務委員と十六団体からなる第一回大学祭実行委員会は委員長に小宮山剛君(J3)議長に土屋勝君(S3)(両君とも総務委員)を選出した。
 そして八月二十二日から三日間、牛窓の東寺にて実行委員会の合宿をもち、基調案の討論をした。その後岡山で三日ほど討論を重ね基調案を確定し、九月十七日に学館和室で開かれた第二回実行委員会に提出した。
 今回承認された基調はこれによるものである。

徹底討論と共同作業

 今年の大学祭を進める上では徹底討論と共同作業を通して共同性を求めていく、というプロセスが強調されている。
 75年にもなされたが、各企画団体と実行委員会の大学祭基調を接点としての討論は個々バラバラの情況の中で大学祭が各個バラバラな企画のよせ集めに終わってしまうのを避け、企画団体の主体性を生かしながらまとまりのある大学祭、共同性を求める方向を持った大学祭を作り出す為の過程である。
 また、今までの大学祭において基調ともほとんど無関係にあつかわれていたバザー(模擬店)に関して今年度は新しい試みとして、バザー参加団体の代表十名と実行委員からの四名からなるバザー委員会を設けて、場所割りなどから一切を運営するようにしている。これなどは単にサークル等の資金獲得の場となってしまい、もうけ主義に陥ってまいがちなバザーをバザー委員会による自主管理、という共同作業によっていくらかでも共同性を求められる方向に持っていこうとする一つの努力である。
 ところで日程であるが、今年は一応十一月二二日(水)から二六日(日)がほぼ確定しており、現在学生部に二}七日を片づけの為に休校とする様要求している。学部開放に関しても実現の方向で、努力をした方が良いのではないだろうか。教室−学部という強いられた共同体に大学祭がどこまで迫れるか。
 毎年話題となるコンサートであるが、昨年のようにただ人が集りそうなミュージシャンを呼んでやればイイ(昨年はりりィ、オフコース、浜田省吾)のではなく、真に基調の体現を目ざす為各プロダクションに基調を送り、それに共鳴してくれるミュージシャンを呼ぶ、という方針で実行委員会は作業をしており、現段階ではまだ未定である。
 なお実行委員会内部でファイヤーストームを前夜祭か最終日にやってはどという声が出ているが、作業に動員できる人数の確保が最大のネックとなっている。
 大学祭実行委員会からの要請により本紙二面に大学祭基調全文を掲載した。単に企画参加しようとするサークル等の関係者だけでなく、大学祭にかかわる全ての人、さらに期間中〈旅行に行く〉人や〈雀荘に行く〉人にこそこの基調を読んでもらいたい。大学祭とは何なのか(大学祭が無ければ休みにもならず旅に行けないョ)、そもそも大学とは何なのか、を根底的な所から考えてみる時が来ているのではないだろうか。
 今年で通算二一十九回目をむかえる「大学祭」、闘争前夜の高揚の中での「飲んで食って笑いこけた大学祭に終止符を、フェスティバルからアカデミーへ」、そして69年共同性崩壊後の「理性によらず感性によれ」、74年、75年、76年……。
 今年は「絶望への出発を〜そして〜絶望からの出発を」を大学祭のテーマとして掲げている。まず絶望の情況を認識する事からだ、と。
(編集部)


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