岡山大学新聞 再刊第2号(通刊237号) 1978年6月30日発行

「学長告示」に物申す

お 知 ら せ

 去る3月26日の新東京国際空港における事件に関し、本学学生等が逮捕された。
 このことについて、次のような学長告示が出された。

 昭和53年5月2日
 岡山大学

告  示

 去る3月26日、本学学生及び元学生が新東京国際空港における不法行為により逮捕・起訴された。
 大学は、かねてから不法行為を禁止してきたにもかかわらず、このような事態が発生したことは誠に遺憾である。
 今後、目的のいかんを問わず、かかる不法行為を行わないよう重ねて厳重に注意する。
 なお、学内においては、犯罪行為をそそのかし、あるいは社会的秩序の暴力による破壊を呼びかけるような掲示物は厳に慎まれたい。

 昭和53年8月1日
 岡山大学学長 小坂 淳夫

 独占ブルジョワジーによる教育政策が中教審という形で自らの延命のため、そしてとりもなおさず、侵略に向けた従順な学生、独占資本に「奉仕」する人間づくりを目指すものである以上我々学生にとって現在の状況に座していることはこのことを黙認するばかりか、加担することになるだろう。
 ここ岡大においては、政府−権力の要請を受けた形で5月1日、学長告示が付された。この告示にも見られるように、大学当局は警察権力と一体になって、運動解体、斗争圧殺の攻撃を加えてきている。
 この学長告示は現在の大学のあり万に擬問を投げかけている。すなわち「不法行為により逮捕・起訴された」とし、処分問題を暗に示している。大学というものが、学生を審査し処分のでき得るものだろうか。たとえ、逮捕・起訴され、罪形が確定したとしても、大学にはそのような権利はない。
 しかるに政府・権力−大学当局は「処分」することにより、「物言う学生」が芽ばえることを事前に摘み取ろうとしている。
 小学校から大学までを貫いての切り捨て教育の中で不断の競争をおしつけ、いわゆる「できる者」と「できない者」をふり分け、よく働き、能率を上げ、出世していく人間が立派な人間であり、金と地位を得ていくという資本の論理にとりこんでいく。そして、他方国家・国民(日本国民としてホコリを持てる人間の形成を目指す)を強調し、国家の繁栄=日本企業の防衛と、企業に従順で、この社会の様々な矛盾を見られない−見ようとしない人間を作っていくこと、これが中教審のいう人間形成であり教育なのだ。この差別分断攻撃の頂点である現在の大学は、競争に「勝ち」抜いた者として貧弱ながらも若干のエリート意識をうえつけ、従順な中間管理者を養成していくものとしてある。
 5・1学長告示は中教審路線にのっとった形で、学生の管理強化をもくろむものであり「不法行為」の名の下に「物言う学生」をふうじこめようとするものである。
 この学長告示に対して、医学部自治会、北津寮、三里塚空港をつぶせ!岡大の会などが、抗議をしている。
その内容として「三里塚の問題に触れることなく「不法行為・犯罪行為」と決めつけるのはあまりに一万的な見解であると言わざるを得ない。学長が権力の要請に答えた形で政治的な判断を押しつける問答無用の能度は大学自らがその自治の名目すらかなぐり捨てているのではないだろうか。」と述べている。今回の学長告示は文部次官通達により、小坂学長がその権限により評議会を経ずに出されたものである。これは学長のひとり言であり何ら制約を受けるものではないだろうが今後、このようなひとり言を言う事が許されていくなら、我々学生は全く管理の対象物としてあつかわれていくことになるだろう。
 我々は学生に対する管理強化を目指してくる大学当局に対し、学生存在をかけて斗い、真の大学自治の獲得を目指していかねばならないだろう。(馬喰仁)


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