ロバート・メイプルソープ財団

1995年4月10日

土屋氏支援声明

関係各位

 私はロバート・メイプルソープ財団の理長であり、ロバート・メイプルソープの遺産の執行人として、メイプルソープ財団が土屋氏の立場を断固支持することを宣言する。

 ロバート・メイプルソープは多くの美術学者、学芸員、批評家からこの20年間に登場したもっとも重要なアメリカの写真家とみなされている。披の作品は世界中のギャラリーおよび美術舘における100以上の個展、そしてさらに多くのグループ展の主題となっている。世界各国の30以上の主要美術舘、たとえば現代美術館(ニューヨーク)、メトロポリタン美術館(ニューヨーク)、ボンピドーセンター(パリ)、Stedelijk美術館(アムステルダム)、ビクトリア&アルパート美術館(ロンドン)、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(こューヨーク)などが彼の作品を収蔵品として購入しており、194点のメイプルソープの主要コレクションを中心に新しい写真展を構築している。これらの美術舘は高い名声を誇っており、メイプルソープ氏の作品を最高の純粋美術とみなさなければ、その作品を収集しないであろう。

 メイプルソープ氏の作品の芸術的価値は日本でも広く認められている。大規模なメイプルソープ回顧展が朝日新聞の後援により、1992年から1993年にかけて東京都庭園美術舘、水戸芸術館、神奈川近代美術館、名古屋市美術館、滋賀県立近代美術館を巡回して開催された。この展覧会は日本国外務省および文化庁、そしてアメリカ合衆国大使館の協力を得て行われた。この回顧展およびメイプルソープ氏の作品は熱烈な大衆的支持とともに批評家からの絶賛を受けた。これらの著名な美術館およびそれらの学芸員によって与えられた評価は、その好意的な評価とともに、それらの写真が純粋美術作品と見なされるべき確固たる証拠なのである。

 真撃で重要なアーティストとしてのロバート・メイプルソープの国際的な評価はゆるぎないものであり、さらに今日も広がりつつある。ソロモン・R・グッゲンハイム近代美術館(ニューヨーク)の学芸員であるGermano Celanによって企画されたもう一つのメイプルソープの回顧展が現在ヨーロッパおよびオーストラリア・ニュージーランドを巡画している。これまでに以下のような重要な美術館、Louisiana美術館(デンマークHumlebaek)、fur Kunstund Gewerbe美術館(ドイツ・ハンブルグ)、Museo Fortuny(イタリア・ヴェニス)、Palais des Beaux-Arts(ベルギー・ブリュッセル)、Centro perl' Arte Contemporaneo Luigi Pecci(イタリア・プラト)、テルアビブ美術館(イスラエル)、Fundacio Joan Miro(スペイン・バルセロナ)、Kunst Haus-Wien(オーストリア・ヴィエナ)、近代美術舘(オーストラリア・シドニー)で開催された。およそ70万人がこの展覧会に来場した。ほとんどの開催地で過去最高、あるいはそれに近い来場者数を記録し、一般大衆、報道、そして美術批評家や専門家からきわめて好意的な反響を得た。

 メイプルソープの作品は多くの商業出版物として発行され、展覧会のカタログは英国、オランダ、ドイツ、フランス、イタリアそして日本語圏の主要出版社によって発行された。アメリカの主要出版社であるランダムハウスは、現存するメイプルソープの全作品を収録した5冊組の全集をここ数年かけて出版しているところである。

 メイプルソープ氏の作品の美術的功績をたたえる多くのエッセイが、たとえばArthur Danto教授(コロンビア大学)、Joan Didion、Demund White、Gemano Celant、Ingrid Sischyのような高名な作家や評論家によって書かれている。

 ロバート・メイプルソープの作品は一度だけ法律的な攻撃を受けたことがある。それは検閲で悪名高い歴史を持つアメリカの都市、オハイオ州シンシナティで1990年に起きた。「The Perfect Moment」とタイトルが付けられた、有名できわめて成功したメイプルソープの巡画回顧展が地元の美術館で開かれた時、地元の検察官は、いくつかの作品が猥褻物であるとして告訴した。多くの専門家がメイプルソープ氏の作品を支持する証言を行い、陪審はメイプルソープの作品は合法的であり、真撃な美術作品であることを認め、それゆえに猥褒物とはみなすことはできなかった。実に、法律専門家は報道の中で次のように述べている、それは、この事例はあまりにも明白であるため、たとえ陪審が作品を猥褒物と認めても、その評決を上級審で受け入れることは不可能である。

 日本の税関当局が土屋氏から没収した本はホイットニーアメリカ美術館(ニューヨーク)で1980年に開催されたメイプルソープ展のカタログであり、この美術舘は全米でもっとも権威があり、重要な美術館の一つである。この展覧会は途方もない批評と大衆的な喝采を得、膨大な出版物の主題となった。このカタログにはメイプルソープの作品の芸術的価値に関する学術的なエッセイが、Richard Marshall、Ingrid Sischy、Richard Howardによって寄せられている。このカタログは展覧会から7年の間、出版され続けられ、英語版、フランス語版、ドイツ語版が世界中で売られつづけている。このカタログの販売と輸入は、これまでいかなる国家によっても規制されたことはなかった。

 我々は、日本の税関当局によるカタログの没収の決定は、メイプルソープの写真が世界中の主要美術館、学芸員、学者、法律専門家によって純粋美術の重要な作品であると認められていることから全く違法であるという土屋氏の主張を強く支持するものである。

理事長
マイケル・ワード・スタウト

この声明文は東京高裁へ証拠(甲第42号証)として提出したものである。