古書店で見つけて思わず手に取った1冊。著者は1903年長野県生まれで,高等農林学校(現在の農学部)を出て農業高校校長や教育委員,教育委員長を務めたインテリだ。サブタイトルが「孫に伝える私の少年時代」となっているが,自分の祖父が1901年,祖母が1903年産まれなので,まさに自分と祖父母との世代関係にあたる。
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07/22 書評『暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで』
978-4105393021 |
暗号解読 ロゼッタストーンから量子暗号まで サイモン・シン著 青木薫 訳 新潮社 2001年7月30日初版発行 2003年1月25日第12刷 定価2600円(税別) |
かつて暗号は子どもの遊びか、そうでなければ外交官や軍人、スパイといった特殊な人しか関係がないものだった。だが、現代ではインターネットや携帯電話、DVD、BSを使っているすべての人が暗号のユーザーなのだ。ネットの世界での認証、DVDやBSのコピー制御は暗号技術に寄っている。暗号なしでは、私たちのプライバシーもオンラインショッピングの安全性もコンテンツベンダーの利益も守られない。
本書は、16世紀スコットランド女王メアリーがイングランド女王エリザベスへの反逆罪に問われて裁判にかけられるシーンから始まる。メアリーが支援者とやりとりしていた手紙の暗号が解読されれば、死刑は免れない。エリザベスの主席国務卿サー・フランシス・ウォルシンガムはイングランドのスパイ組織を統轄する立場であり、イングランド随一の暗号解読者トマス・フェリペスに暗号の解読を託した。
暗号の歴史は暗号制作者と暗号解読者との戦いでもあった。暗号制作者は解読困難な暗号を作りだし、暗号解読者はあらゆる手段を尽くして解読に挑む。初期の暗号は、文字を上下にずらした転置式や数個ずつずらした換字式といった仕組みを使っていた。カエサル(シーザー)式暗号といえば、換字式暗号の代名詞となっている。
換字式暗号は簡単に暗号化・平文化ができ、それなりに強力だったので1000年以上にわたって使われてきた。ところが、中世に入ってイスラムが発展すると換字式暗号も安全ではなくなってきた。イスラムでは経済だけでなく数学、統計学、言語学といった学問も発展した。予言者ムハマンド(マホメット)の言葉を研究する中で、単語や文字の出現頻度にばらつきがあることがわかってきた。有名な例でいえば、英米アルファベットでは「e」という文字が一番多く使われている。
つまり、暗号文の中で一番多く出てくる文字は「e」だろう、次が「t」、その次が「a」とあたりが着いてくる。こうして意味不明な暗号文の中にだんだんと平文が浮かび上がるようになり、ついには解読されてしまう。そしてスコットランド女王メアリーの暗号文も解読され、一味の反逆計画が明らかになる。1587年2月8日、フォザリンゲイ城でメアリーは処刑された。
メアリーの悲劇に象徴されるよう、単アルファベット換字式暗号はもはや安全ではないという認識が政治家や軍人の間には広まった。より強力な暗号はないのか。16世紀のフランス外交官ブレーズ・ド・ヴィジュネルは頻度分析を使っても解読できない強力な暗号を完成させた。単アルファベット換字式ではなく26個の換字表を使い、平文1文字ごとにシフトをずらしていくのだ。たとえばthatはUJDXと置き換えられ、「t」が2回出てきても違う文字に割り当てられる。
ヴィジュネル暗号は「解読不可能」暗号として、高度に機密性を求められる外交文書や軍事文書に採用された。これを解読したのが19世紀、史上初のプログラマブル計算機を考案したチャールズ・バベッジ。彼はより精度の高い頻度分析を行い、ヴィジュネル暗号であってもよく使われる単語は、それなりに高い頻度で出現することを発見。ヴィジュネル暗号解読法を確立した。
次に暗号の世界で大きな飛躍があったのは、第二次大戦前のドイツで使われたエニグマ暗号機だ。キーボードと回転するスクランブラー、パッチボードの組み合わせという電気・機械混在方式のこの暗号機は、それまでの紙とペンで行われていた暗号化を一挙に超複雑で安全なものにした。キーボードからの信号は文字を入れ替えるパッチボードを通り、1文字ごとに回転するスクランブラーの組み合わせで暗号化される。パッチボードの配線方法、スクランブラーの順番と左右の向きなどで、これまでの頻度分析ではまったく太刀打ちできなかった。
ドイツ海軍、陸軍、空軍、政府、鉄道、企業はエニグマをこぞって導入した。英国やフランスの諜報機関はドイツの通信を傍受しても、まったく中身を知ることができなくなった。ヒットラー率いるナチスは着々と軍備を増強し、周辺諸国に圧力をかけていった。
エニグマの解析は、まずはスパイの活躍によってもたらされた。ドイツ人ハンス=ティロ・シュミットはエニグマのマニュアルをフランスに売り渡した。だが、フランスはこの貴重な情報を活用できなかった。エニグマのマニュアルを参考に、解析器を組み立てたのはフランスの同盟国であったポーランドだった。ポーランドはドイツと国境を接しており、その動きを把握することは死活問題だった。ポーランド暗号局ビュロ・シフルフは数学を専攻したマリヤン・レイェフスキに命じてエニグマの解析にあたった。
レイェフスキは、ドイツ軍オペレータが秘密鍵を2回連続して送信することを使い、暗号化されたメッセージの相関関係を徹底的に分析することでエニグマの解読方法を発見した。
6/23 チェンソーについての本を購入
チェンソーはまだ手に入れてないけど,アマゾンから参考書を購入した。ついでにSantanaの新譜「Santana IV」も。
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04/03 自分で手漉きした、ひので和紙のブックカバー
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11/12 新宿の模索舎で本を購入
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去年1月に第1刷が出て,いまだに話題になっている『ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体』(原田曜平 幻冬舎新書)をようやく読んだ。
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