電気・電子・音・電波などの分野では欠かせない㏈(デシベル)という単位.だけど自分の中できちんと把握できてないので,勉強し直してみた.
まずWikipeidaによると㏈とは「ある物理量を基準となる量との比の常用対数によって表したものである」「音圧、電力、利得など、音圧、電力、利得など、物理量をレベル表現を用いて表すときに使用される単位である」という.
つまり物理量の比を常用対数で表したもの.電力,電圧,増幅器やアンテナの利得,音量などに使われる.「B(ベル)」という単位があるのだけど,通常使う範囲ではBでは大きすぎるので,10分の1を意味する「デシ」を付けた㏈,デシベルが一般的である.
入力電力をPin,出力電力をPoutとすると,電力利得LPは
LP=10log10(Pout/Pin) [㏈]
となる.
交流信号の振幅からデシベルで表す利得LVを求める場合,電力は振幅の2乗に比例すると仮定し
Lv=10Log10(Pout/Pin)2=20Log10(Pout/Pin) [㏈]
となる.
試験問題では真数と㏈との換算が必要になる例が多い.この場合,log102=0.3という値だけが与えられることがほとんどだ.
つまり対数計算,積の対数,商の対数,累乗の対数を使えばよい.
log10MN=log10M+log10N
log10M/N=log10M−log10N
log10Mr=rlog10M
アンテナの相対利得
第一級陸上特殊無線技士 H26年6月
無損失の半波長ダイポールアンテナに30[W]の電力を供給し送信したとき、最大放射方向にある受信点の電界強度が1[mV/m]であった。同じ送信点から、八木アンテナに15[W]の電力を供給して送信したとき、最大放射方向にある同じ距離の受信点での電界強度が4[mV/m]となった。八木アンテナの相対利得として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、log102=0.3とする。
1 10[dB] 2 12[dB] 3 13[dB] 4 14[dB] 5 15[dB]
八木アンテナの放射電力Px=15[W],半波長ダイポールアンテナの放射電力Ps=30[W]とすると,電力の比による相対利得は
GP=Ps/Px=30/15=2
である.八木アンテナの電界強度Ex=4[mV/m],半波長ダイポールアンテナの電界強度Es=1[mV/m]とすると,電界強度の差による相対利得GEは
GE=(Ex/Es)2=(4/1)2=16
である.
GP,GEの比から利得GdBを求めると
Gdb=10log10(GPGE)=10log10(2×16)=10log1032=10log1025=50log102=50×0.3=15
なので,正解は「5」となる.
自由空間の電界強度
第一級陸上特殊無線技士 H25年10月
自由空間において、相対利得が13[dB]の指向性アンテナに5[W]の電力を供給して電波を放射したとき、最大放射方向で送信点からの距離が10[km]の受信点における電界強度の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし電界強度Eは、放射電力をP[W]、送受信点間の距離をd[m]、アンテナの相対利得をG(真数)とすると、次式で表されるものとする。また、アンテナ及び給電線系の損失はないものとし、log102=0.3とする。
E=(7√(GP)/d [V/m]
1 1[mV/m] 2 3[mV/m] 3 5[mV/m] 4 7[mV/m]
相対利得G[dB]=13[dB].これを真数にすると
13=10+3
=10log1010+10log102
=10log10(10×2)
=10log1020
=10log10G
G=20
E=(7√(20×5))/(10×103)
=(7√(100))/(1×104)
=7×10×10-3
=7×10-2
なので正解は7[mV/m]の「4」となる.
自由空間基本伝送損失
第一級陸上特殊無線技士 H23年10月
電波の伝搬において、送受信アンテナ間の距離を25[km]、使用周波数を6[GHz]としたときの自由空間基本伝送損失の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、自由空間基本伝送損失Γo(真数)は、送受信アンテナ間の距離をd[m]、使用周波数の波長をλ[m]とすると、次式で表されるものとする。ただし、log102≒0.3及びπ2≒10とする。
Γo=(4πd/λ)2
1 78[dB] 2 95[dB] 3 110[dB] 4 136[dB] 5 156[dB]
Γo=(4π 25×103/5×10-2)2
=(4π5×102)2
=(20π×105)2
=400π2×1010
=4×10×π02×1010
=4×1013
dBにするとΓo[dB]=10log10(4×1013)
=10(log104+log101013)
=10(log102+log102+13)
=10(0.3+0.3+13)
=136 [dB]
なので「4」が正解となる。
受信電力
第一級陸上無線技術士 H24年10月
図に示すマイクロ波回線において、A局から送信機出力電力2[W]で送信したときのB局の受信機入力電力の値として、最も近いものを下の番号から選べ。ただし、自由空間基本伝送損失を140[dB]、送信及び受信アンテナの絶対利得をそれぞれ40[dB]、送信及び受信帯域フィルタの損失をそれぞれ1[dB]、送信及び受信給電線の長さをそれぞれ10[m]とし、給電線損失を0.2[dB/m]とする。また、1[mW]を0[dBm]、log102≒0.3とする。
1 -15[dBm] 2 -21[dBm] 3 -33[dBm] 4 -38[dBm] 5 -39[dBm]
送信出力2[W]はPs[dBm]にすると
Ps=10log10(P)
=10log10(2×103)
=10(log102+log10103)
=10(0.3+3)
=33[dBm]
Pr=Ps+Gs+Gr-(Γ+Lf+Lc)
=33+40+40-(140+2+4)
=-33 [dBm]
なので「3」が正解となる。