02/08 ボルダリングジャパンカップでの理不尽な撮影規制

1月29日(日),代々木第2体育館で開催された第12回ボルダリングジャパンカップ決勝戦の応援に行って,スタッフから撮影を規制されるという目にあった。現在,主催者の日本山岳協会(JMA)とメールでやりとりの最中。クライミングコンペで撮影規制があるということ自体がほとんど知られていないし,その言い分も理解しがたい。この先,JMA関連のコンペではことごとく規制がかかる可能性があるので,ここにあらましを書いておく。

ボルダリングジャパンカップはJMAが主催し,日本でボルダリングの頂点を決める唯一の大会。第1回から9回までは野口啓代選手が連続9連覇という超人的な記録を打ち立てた。10連覇がかかった第10回大会ではあろうことか野口選手と,ライバルとみられていた野中生萌選手の二人とも準決勝を通過できないという大波乱もあった。そして昨年,加須市民体育館で行われた第11回大会では無事に野口選手が優勝した。
今年は2020東京オリンピックでスポートクライミングが追加種目となって始めての大会。これまでになく盛り上がり,大手スポンサーも付いている。

予選は仕事があったので見られず,日曜日に応援に駆けつけた。PowerNaviがサポートする選手としては野口啓代,渡部桂太,石松たいせい,細野かおりの4名が出場し,野口,渡部,石松が予選を通過した。
ちょっと出遅れて11時過ぎに体育館に着いたら,女子準決勝最後の選手が最後の課題に取り組んでいるところ。数分で午前は終わってしまい,14時の決勝戦まで渋谷の街をブラブラした。

スタッフがやってきた

すでにアリーナ席は満席。立ち見は不可というので2階席に上がる。正面やや左後方のシートに座った。お腹の調子がイマイチで,途中でトイレに抜け出すこともあり得るので,通路際を取る。

やがて女子から決勝戦が始まった。自分はいつものようにNIKON D7000+AF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VRという組合せで写真撮影を始めた。
数分たったところで女性スタッフがやってきて「お客様,そのレンズは何ミリですか」「18-200mmですが」「135mm以上の望遠レンズの使用はお断りしています」
すでに決勝戦は始まっている。ごねて試合が見られなくなっては馬鹿らしいし,選手のスポンサーだとか言って騒いだら,彼らに迷惑がかかってしまう。
むかつきながら,大人しく客席で選手たちに声援を送るしかなかった。

さらに気分が悪かったのは,すぐ隣に座っていた人が同じぐらいの望遠ズームレンズを使って撮影していたのに,何も言われなかったこと。望遠レンズ取締担当スタッフはどこか別の場所に行ってしまったのだろう。
野口選手の番になったのでスマホのデジタルズームで撮影したけれど,画質が悪くて見られたものではない。

途中からAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VRを135mm以下の焦点距離にセットして撮影を行った。何か言われたら「135mm以下だ」と切り返そうと思ったが,スタッフは来なかった。

帰宅後,ボルダリングジャパンカップの公式サイトを見たが,やはりどこにも「135mm以上の望遠レンズ使用禁止」という表記はない。

自分は2007年10月のワールドカップ加須大会から,ずっとクライミングコンペの写真を撮り続けている。クライミングだけではなく,小野心選手が出場するプロボクシングの大会,渡辺ユーマ選手が出場するスケートボードの大会でもカメラを持って駆けつけている。
競技に出場できない自分にとって,こういった退会の写真を撮ることはささやかな協賛であり,応援の一つだと思っているからだ。実際,SNSなどで公開した写真を出場者は喜んでくれている。
もちろんプレスパスを取っての撮影ではない。スポンサーとしてパスを持っている時もあるけれど,カメラマンとしてはあくまでアマチュアであり,客の立場だ。だから試合の邪魔になったりプロの撮影の邪魔にならないように気を使っている。ストロボを炊かないのは当たり前,巨大すぎる機材は持ち込まない(持ってないけど),撮影場所も客席から。
この10年間撮影してきて,始めて撮影禁止と言われた。
これが音楽コンサートや映画館なら分かる。ほとんどのプロコンサートではチケット購入時に撮影・録音・録画は禁止ということが明記されている。映画館での撮影は映画泥棒だ。

JMAに問い合わせメールを送った

JMAの問い合わせ窓口から,1月31日に次のメールを送った。

PowerNaviの土屋です
1月30日に開催された第12回ボルダリングジャパンカップ2017決勝戦において2階観客席後方より写真を撮影していたところ、スタッフより135㎜以上の望遠レンズの使用は禁止されていると言われ、撮影を断念しました。
そのため決勝戦の間、非常に不愉快な気分で試合を応援することになりました。
この時使用していた機材はNIKON D7000とAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VRで、レンズの焦点距離は18mmから200mmまでの高倍率ズームというものです。
BJC2017公式サイトには135㎜以上の望遠レンズについての記述はありません。突然現場で望遠レンズの使用を禁止されても対応できません。周囲では同じような望遠レンズを使用している方がいましたが、スタッフからの警告はありませんでした。
今回、大会に協賛したりブース出展しているわけではなく、個人としてチケットを購入して観戦しました。野口啓代、渡部桂太をはじめスポンサードしている選手の写真を撮影することは彼らへの応援・励ましにもなることと考えています。
今後のこともあり、JMA主催クライミング競技における望遠レンズの使用規制について回答をお願いします。
・事前に告知することなく、現場で望遠レンズの使用を禁止したことについてどのように考えているのか
・望遠レンズの使用禁止はどの大会において行うのか
・禁止される望遠レンズの焦点距離、寸法などの基準
・いかなる理由で禁止するのか
回答はブログなどで公表する可能性があります。

呆れた回答

これに対し,2月2日JMAから回答が送られてきた。

平成29年2月2日
土 屋  勝 様

公益社団法人日本山岳協会
専務理事 尾形好雄

回 答 書

お世話になります。
平成29年1月31日付メールにてお問い合わせのありました件につきまして以下のように回答させて頂きます。
先ず、この度は運営側の不手際と観戦ルールの告知不徹底でご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
観客の撮影制限につきましては、2016年の第11回ボルダリングジャパンカップから開始しました。其の後、日本ユース選手権リード競技大会(印西)、IFSCボルダリングワールドカップ加須大会等でも行ってきました。今後も本協会の主催大会では準用していく所存です。
制限の理由としましては、大会主催者に帰属する肖像権の保護と、一般的に望遠レンズのような大きなレンズでの撮影では、撮影の目的に関わらず他のお客様の迷惑になることがあるためご遠慮いただいております。
撮影制限の告知につきましては、会場入り口の右手の案内板に掲示し、準決勝の観客入場時には場内アナウンスも行いました。繰り返しアナウンスをかけるべきであったと反省しております。
注意警告につきましては、会場係から1月28日に4人、29日に3人に注意したとの報告を受けておりますが、会場係がいきわたらず注意が徹底できなかったことをお詫びします。
何れにしましても運営側の不手際は歪めません。今後は、観戦ルールを整備し、HPで事前告知し、大会プログラムに掲出するなど告知を徹底して、お客様にご迷惑のかからぬよう最善を尽くしていきたいと思います。

なんだ,この内容は。
昨年のボルダリングジャパンカップから撮影制限を行ってきたという。自分は昨年のボルダリングジャパンカップ,リード日本選手権大会,ワールドカップ加須大会で堂々と18-200mmレンズで撮影してきた。公式サイトのどこにも135mm以上の望遠レンズ使用禁止という文言はないし,会場でもとがめられたことはなかった。
観客は制約事項があればそれを読んで,同意の上でチケットを購入する。会場に掲示したり場内アナウンスされても遅いのだ。何度アナウンスを繰り返そうが,望遠レンズしか持ってきてなければ,撮影そのものができなくなる。
選手の肖像権保護というのであれば,焦点距離は関係ない。スマホだろうがコンデジだろうが,撮影そのものを禁止すべきだ。
望遠レンズが大きいかどうかは,カメラの画像素子によって異なってくる。たとえばAF-S DX NIKKOR 18-200mm f/3.5-5.6G ED VRは最短の18mmにしたときレンズの長さが11cm,最長の200mmにすると18cmぐらいになる。D7000は画像素子サイズがAPS-Cなので,35mmフィルムカメラ換算だと焦点距離は1.5倍,27mmから300mm相当となる。

スマホに搭載されているカメラは3分1サイズ程度なのでレンズは3.83mmぐらい。35mm換算だと27mmぐらいになる。これに10倍望遠アダプタを装着すれば270mm相当となるが,レンズの長さは5cmぐらいだ。一眼レフデジカメのボディサイズにもならない。
スマホに10倍アダプタというのは,実際に使う気にならないけれど高倍率コンデジなら十分使えそうだ。3万円前後の小型コンデジだけど30倍から60倍ぐらいまでのズームレンズを搭載しており,35mm換算で24mmから600mm,1000mmといった超望遠領域までカバーできる。
それでもJMAは「他のお客様の迷惑」になるというのだろうか。

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