1月読んだ本

今年は経済学を勉強するというのがテーマなので、その方面の本を主に読んでいた。教養課程でとった経済学は農業経済学だったし、誰もが読むような「経済学・哲学草稿」とか「賃労働と資本」といったマル経の入門書ぐらいしか知らないので、今の経済学に触れておこうと。
『格差はつくられた』ポール・クルーグマン 早川書房 2008年
大晦日から読み始め、正月2日に読了。
著者は去年のノーベル経済学賞受賞者。


先進国では異例なことだが、アメリカになぜ国民皆健康保健制度がないのか。むしろレーガン以降、福祉制度が後退した原因を解き明かしている。本来であれば、裕福でない白人からも福祉後退、金持ち優遇は反発されるはずだが、保守派は黒人差別を利用して、「黒人らを助ける福祉、健康保健を許すな」というキャンペーンを展開し、格差社会を作ってきたのだという。
20世紀初頭の格差社会であった「金ぴか時代」をレーガン以降の保守派時代に、それに対抗するモデルとしてニューディールと50年代の大圧縮の時代とを対比させている。そして、今こそ累進課税で格差を縮め、中流階級を復活すべきだと。
 クルーグマンは去年の民主党大統領候補指名ではオバマではなくクリントンを応援したというが、黒人大統領の誕生がいかにすごい歴史的事件かを予言した書だろう。
『フラット化する世界(増補改訂版) 上』トーマス・フリードマン 日本経済新聞 2008年 
2005年のベストセラーなのでいまさら、という感じだが読んでなかったので。
中国、インド、東欧で社会主義の壁が崩壊し、インターネットでつながることで経済活動はどこでも可能になり、全世界は等しく競争のスタートラインに立てるようになった。競技場はフラットになったという、グローバル化礼賛の書だ。
たしかに、インターネットの普及、テクノロジーの進化は製造業だけでなく、コールセンターや税務など、さまざまなサービス業まで海外アウトソーシングを可能にした。インドや中国の企業が欧米や日本企業から仕事を受注し、急成長した例も多い。これまで大学を出ても就職がなかった若者が高給を取れるようになったのかもしれない。だけど、インドや中国がフラットで民主的な国家になったとは言えない。何より、フラット化によってアメリカ人の生活水準は全体で上がったのだろうか?
『情報資本主義論』北村洋基 大月書店 2003年
マルクス経済学者である著者は、まず「情報技術革新に特徴づけられた現代資本主義をとりあえず情報資本主義と呼ぶことにする」と定義する。そして『資本論』を基礎理論として、マルクスの資本主義分析の方法を使いながら、『資本論』を情報資本主義としての現代を把握する基礎理論に発展的改作することを目的としている。
多くの情報論ではメディアの進化といった面から情報の変化を捉えるのだが、本書では労働過程と情報・制御、道具段階から機械段階、オートメーション・情報ネットワーク段階における情報と制御といったように、生産手段と情報のかかわりを主に分析しており、マル経ならではと感心した。ただ、大工業を超えた資本主義的生産様式として「労働手段における質的変化すなわち機械からオートメーションへの発展が主導する」という部分が、ちょっと不十分ではないかと感じる。
『ミクロ経済学 第2版』伊藤元重 日本評論社 2003年
ぼくの経済学の知識は先にも書いたように70年代、大学の教養課程で経済学(たぶんマル経)を取り、あとは『経済学・哲学草稿』や『賃労働と資本』といった、マルクスの入門書を何冊か読んだ程度。
だから、現在の経済学の主流が新古典主義であり、マクロ経済学、ミクロ経済学といった大まかな分類があることすら知らなかった。
この本は経済学部の学生向けミクロ経済学の入門教科書として定評があるようだ。ミクロ経済学の基本である需要と供給の関係についてグラフや図、数式を使ってわかりやすく解説している。一気に通読するというより、教科書として単元ごとに読んで理解する書だろう。
『経営情報システム 第3版』宮川公男編 中央経済社 2004年
これは経済の本ではなく、企業における情報システムについて解説している。帯には「10年間に5万人の学生・国家試験受験者が学んだ定番ロングセラー入門書の改定第3版」とうたっている。コンピュータの歴史、データベース、意思決定支援システムからインターネット、eコマースなど現代のIT産業まで幅広く取り上げている。
『入門 情報の経済学』永谷敬三 東洋経済新報社 2002年
著者は情報学部の3、4年生を対象に「情報の経済学」という科目を学生に教えるにあたり、適当な教科書がなかったので、自ら執筆したという。
まず、織田信長が5000の兵力で25000の今川義元軍をやぶった桶狭間の戦いにおいて、いかに信長が情報戦を駆使したかを例に情報の重要性を説く。そして情報とは何かというテーマに対し、不確実性を減らすものであり、「複製可能性」「強い外部性」「不可分性」「品質が不確実」「不可逆性」といった特徴があることを列挙し、それぞれを詳しく解説している。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください