【書評】『蔵書の苦しみ』岡崎武志

蔵書の苦しみ

蔵書の苦しみ
岡崎武志
2013年7月17日発売
定価:819円(税込み)
ISBN 978-4-334-03755-0
光文社新書

本郷三丁目の古書店で、たまたま目に飛び込んできて購入。去年出たばかりなので、どこかで手にとって記憶にひっかかっていたのかもしれない。

著者は2万冊以上の蔵書を持ち、21畳の書庫が本で埋まってしまい、どこに何があるか分からない状態だという。書棚にはぎっしり本が詰め込まれ、床は本で埋め尽くされ、本を踏まなければ移動もできない。同じ本を2度3度買うことは珍しくもなく、取材ノートや資料が行方不明になるという。

著者だけでなく、とてつもない蔵書家が何人も登場する。浴室以外は本に占領されていた評論家・草森紳一、下宿は万年床以外のスペースがすべて本の山となっている「退屈男」さん、毎日古本屋に寄って5冊、10冊と買っていた富永正一さん、本の重さで建物が歪み、1週間で追い出されたマンガ評論家の米沢嘉博、部屋が悲鳴を上げているところに本の詰まった紙袋を置いたら床がぬけてしまったという井上ひさし・・・

1日何冊も読めるというわけではないのに、毎日毎日何冊もの本を購入し、積んで置くというのが、ぼくには理解できない。貧乏性なので、105円の古本であっても買ったら読まないのはもったいない。本を買わないと気が済まないというのは着ない服やバッグを買い漁る女性とか、同じ調味料を何本も買う高齢者とかと同じ、一種の病気なのだろう。

もっとも蔵書病の嘆き? 自惚れ自慢? だけでなく本を買い取る古書店の裏話とか、映画に登場する蔵書シーンとか、空襲や震災で灰になった蔵書のこととか、いい話もある。

著者の岡崎さんはぼくと同世代。大阪出身だけど今は国分寺市に住んでおり、国立市で一人古本市をやったという。さらに岡崎さんのブログを読んでみたら、今月、神楽坂で2月16日から24日の9日間、本に関するイベント「Les rats de bibliotheque(レ ラ ド ビブリオテック)~猫も歩けば本に中(あた)る」が開催されることを知った。神楽坂は出版社や印刷会社が多く、日本出版クラブ会館もある。ところが東京理科大学や法政大学があるにもかかわらず、書店らしい書店が無いのだ。神保町に近すぎるからかもしれないが。神楽坂に事務所を移転して1年余り。本を媒介にして神楽坂ともっと親しんでみるか。イベントでは岡崎さんに会えるかも。

「【書評】『蔵書の苦しみ』岡崎武志」への1件のフィードバック

  1. 読ませて頂きました。
    私も、蔵書の多さに自分でもあきれています。高校時代からの本もダンボールの中にあったりして。
    捨てたり売ったりすると、自分の頭の中からその部分が無くなってしまう。自分のバックボーンが薄くなっていく。という恐怖感みたいなものがあります。同じ理由で、レコードやCDも売ることが出来ません(^^;;)

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