読んだ本『あたらしい書斎』

自分にとって、オフィスは原稿を書いたりもする「書斎」。そこが引っ越しを迫られていて、机や書庫をどうしようかと思っているところに本書と出会った。IKEAの家具を使った書斎の設計図も載っていたりして興味を持ち、さっそく購入。

  • 書名:あたらしい書斎
  • 著者:いしたにまさき
  • 出版社:インプレスジャパン
  • 発行日:2012年9月21日
  • 価格:1500円+税



著者が中学時代と今のマンションに引っ越した時の2回、書斎を作ったけれど本の収納が追いつかず、そこら中に山積みとなってしまったという。過去の失敗を教訓に挑み、とりあえず? 成功した現在の書斎作りを中心にまとめたのが本書を書くきっかけだったようだ。

気になったのは知的作業を行う場所としての書斎と、蔵書を置いておく書庫の話がごっちゃになっていること。冒頭で取り上げられている明治の冒険家松浦武四郎の一畳書斎と文豪江戸川乱歩の土蔵を使った書庫はまるで違う性格を持っている。

松浦武四郎がどれだけの蔵書を持っていたのか分からないが、一畳書斎に蔵書を置く余裕はない。日本中から91種類の異なる古い材木を取り寄せて作り上げた一畳の空間は、思索のためのスペースだっただろう。一方、江戸川乱歩の膨大な資料を整理した土蔵書庫は、あくまでも書庫であって、そこで小説を書いたわけではないようだ。

読者に対して、IKEAの家具を使って1畳のスペースからの書斎作りを提案しているが、作業場としての机・椅子・PCといったツールや照明、空調、BGMなどについての話も本の収納についての話も中途半端に終わっているような気がする。椅子とキーボードはデスクワークにとっては大事な要素だ。本の収納もBESTAシェルフユニットは「かなりの量の本を収納可能」とあるだけだし、BILLY書棚には新書が最大1216冊入るというが、蔵書は新書だけではなく、具体性に乏しいように思う。

著者は2回の書斎作りで蔵書を収納しきれず破綻したというが、どんなに書棚を多く設置しておいても、本は増え続ける。結局はあふれてしまうのだから、いかにして不要になった本を処分するかが大事だ。著者は本を次の4段階に分けているという。

現在:今読んでいる本、これから読む本は机の周りに
処分:処分する本は段ボール箱に
仮置:あとで読み返す本。「保存」に回る候補として本棚に
保存:ずっと保存しておく重要な本の、もちろん本棚に

ただ、読み終わった本を処分するか仮置するのか、保存するのか、その分類が一番難しいのではないか。よっぽどひどい本でなければ、どうしても仮置どころか保存したくなる。

むしろ夫婦で書斎を持つにはリビングの1角に書斎スペースを設け、低い仕切りで空間を共有しつつゆるやかにこもるという提案とか、小さな子どもがいる家庭でリビングに子どもと親とが書斎スペースを共有しようという提案の方が、従来の書斎本にありがちな「男の城の作り方」ではなく、斬新で良かった。もっとこっちの考えを煮詰めていけば良いのに。

その他、ブログの書き方とかクラウドサービスの利用、ノマドワークの話題などどれも突っ込みが浅くて残念だ。特に最後の三鷹天命反転住宅の記事はほとんど意味不明。

ところで、本書を購入した人にはインプレスのサイトからPDF版をダウンロードできますとある。さっそくインプレス会員に登録してやってみたのだが、PDF版は印刷版とまったく同じ内容のようだ。ダウンロード時に「○○ページ☓☓行目の数字を入力してください」というのがキーになるので、本を持っていないとダウンロードできないのだが、同じ内容のものを読ませるのは何のため?

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