08/02 情報経済論2012の採点

7月24日に行った神奈川大学経済学部情報経済論期末試験、280名の採点を終了し、総合成績を出してを大学に送付した。2回の小テストと期末試験の点数を合わせ、秀(100~90点)が2名、優(90~80点)が59名、良(80点~70点)が109名、可(70点~60点)が65名、不可が66名という結果に。

相変わらず試験の点数は良くない。3回の試験を受けた学生は単純に合計値、小テストの欠席届を出した学生は期末試験の点数を1.18倍して補正したが、それでも不可が半数に達してしまう。そのため、合計点数が60点未満は1.4倍、70点未満は1.3倍といったように下駄をはかせて、その結果が不可66名だ。

そんなに難しい問題を出しているつもりはない。計算式など無く、どちらかといえばITの常識を問うレベル。まわりにいる事務職の女性(40~50代)に見てもらっても、だいたい50点近くは出せるのだから、半年間授業で学んできた学生が平均点40点というのは、どういうことなのか。今年は一発採点を避けるため、2回小テストを行ってリスク分散を計ったのに、あまり効果がなかったようだ。

さて、試験問題の解説。

問1は電子メールにデジタル署名を付けるのに、誰の鍵を使うかというもの。デジタル署名は送信者の秘密鍵で暗号化し、送信者の公開鍵で復号化する。公開鍵暗号で暗号化とデジタル署名は、重要だからと何度も説明したのに正解率35%。

問2は商取引の流れで、顧客と企業とでどういうやりとりが行われるかを問う。まず顧客から見積依頼書が来て、それに見積書を出し、発注書に対して注文請書、そして検収書が届いて領収書となる。売り主が検収書や領収書を顧客に出すわけないだろうが。そもそも、問題の図に領収書とあるのに回答で領収書を選んだ学生はちょっと情けない。正解率56%。

問3は個人情報保護法における個人情報の対象。正解は「海外から短期留学で来日している外国人の氏名、現地住所」。外国人であろうと個人情報保護法の対象になる。正解率73%。

問4はグループウェアの情報共有機能について。正解は1番のスケジュール管理。セキュリティ管理やネットワーク管理はグループウェアとは関係がない。正解率は82%。

問5は内部統制。社員の不正防止策としては2番の「作業の実施者と承認者を分ける」が正解。セキュリティ方針をWebで公表するとか、ノートパソコンの持ち出し規制はセキュリティ対策であって内部統制とは違う話だ。正解率68%。

問6は知的財産権で、正しいのは4番「作者の死後50年が経過してオリジナルの著作権が切れても、外国文学などで翻訳者が存命している場合は翻訳者の著作権が存在している」。間違えた回答としては「大学の同級生、職場の同僚など限られた人数だけで共有するのであれば著作物の私的複製に該当する」が目立ったけれど、これはアウトだと講義で強調したではないか。正解率30%。

問7はログインIDやパスワードの取り扱いを規定している法律についてだけど、正解は不正アクセス行為の禁止等に関する法律。正解率57%。

問8は個人情報保護法の目的で、正解は「個人の権利利益が侵害されることを未然に防止する」。正解率76%。

問9は『孫子』の「彼を知りて己を知れば、百戦危うからず~」が、情報の特性のどの分野に該当するか。敵を知り、自分を知っていれば絶対に負けることはないというのは、「不確実性を減らす」しかないだろう。複製可能性とか不可分性を選ぶのは、どういう発想なのか理解に苦しむ。正解率63%。

問10はインターネット広告について、ちょっと記号を満載してみた。正解は2番で、広告掲載ページの内容如何によってCTR(クリック・スルー・レイト)は変わってくる、逆に言えばコンテンツ内容で効果を上げることができるのはCTRしかないということ。正解率は42%。

問11はWebページの知的財産権について。正解は「自社の製品について紹介している新聞記事であっても、新聞社の許諾を得ずにWebサイト上で公開することはできない」(みんなやっているけど…)。間違った回答として著作権が切れた小説などを公開しているサイトについて、データー登録作業者の著作権があるので、これらの小説を再利用できないというもの。青空文庫の例を挙げて、ダイソーが使っているなど説明したぞ。正解率28%。

問12はBCPの目的について。これは正解率が98%と非常に良かった。資料に書いてあるとおりだからか。

問13は災害発生時のシステム復旧について。正解は切り戻し訓練を行っておくべきであるというもの。中には「データーセンターは本社近くに設置すべき」や「システムの切り替えは本部の指示で始めて行うべき」という答えを選んだ学生もたが、これはダメだと教えたはず。正解率76%。

問14は経営情報システムについての穴埋め。「MISは、( )の意志決定について適切であると客観的に判断される情報を、組織的に収集、加工、蓄積し、( )の要求に応じてこれらの情報を提供する」に入るのは「マネジメント」。正解率が25%ともっとも低かった。一番多い回答は「エンドユーザー」。エンドユーザーは企業組織内で意志決定をする立場ではない。

問15はCADの機能について。正解は「図形を登録しておき、呼び出して再利用できる」だが、「平面輪郭に断面を付加した加工及び、側面から見た輪郭形状加工のための2軸同時移動データを出力する」を選んだ学生が2番目に多かった。これはCADではなくCAM。正解率68%。

問16はIT統制のPDCAについて。Plan(計画)-Do(実行)-Check(評価)-Act(改善)を言い換えれば「計画、方針の策定」「対策の実施・運用」「結果の監査」「見直し・改善」となる。正解率55%。

問17は、言葉こそ使っていないけれど内部統制について。「情報システム部は利用部門からの独立を保ち、利用部門がデータの正確性を維持できるようにする」が正解。正解率63%。

問18は迷惑メール対策。迷惑メールを受け取ったら読まずに捨てる、だと何度も言った。正解率86%。

問19はSEO対策で、正解は「自サイトと同じようなテーマについて記述しているWebサイトからできるだけ多くのリンクを張る」。検索エンジンSPAMだから、絶対にやってはいけないと強調した「背景と同じ文字色にしてキーワードをできるだけ多く記述する」を選らんだのが7名。君のサイトはGoogleから締め出されてしまうよ。正解率63%。

問20はルーターについて。正解はIPアドレスを使って転送経路を選択するだけど、「アナログ信号とデジタル信号を相互に変換する」(それはモデムだ)や「プロバイダとPC間の通信を暗号化する」を選んだ学生も少なくない。正解率46%。

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