コンテンツ政策研究会

昨日は御茶ノ水のデジタルハリウッド本校で開催された「コンテンツ政策研究会」の設立フォーラムに出席してきた。日本のコンテンツ政策のありかたをアカデミックに検討しようという、学界的な団体である。
デジハリ教授となった福富忠和さんをはじめ、慶応大学の金助教授、内閣官房知的財産戦略推進事務局の杉田参事官、コロムビアミュージックエンターテイメントの廣瀬社長、スタンフォード日本センターの中村伊智哉所長などがパネラーとして登場し、日本のコンテンツ政策のあり方についてディスカッション。

まずは中村氏が設立趣旨、活動および規約提案
今年の8月に活動を開始していたが、11月28日をもって正式発足ということになる。
次に金助教授によるプレゼンテーション「日本のコンテンツ政策、その課題」。コンテンツ政策とは、コンテンツの生産・流通・利用における’公共利益(public interest)’を増進するための政府の介入と位置づけ、公共利益とは何かを深めていく必要があると述べた。
杉田参事官は「デジタルコンテンツをめぐる動向」ということで、コンテンツ市場の動向を主に解説。IPマルチキャストは自動公衆送信ということになっているが、実態としては有線放送とほぼ同じであり、放送的な著作権処理ができないか。
廣瀬社長は「コンテンツ産業振興のための政界・学会の役割」というテーマでプレゼンを行い、表現の自由を確保することとともに、コンテンツ交換の自由も確保されなければならないと主張。また、コンテンツを作る基本技術をしっかり身に付けさせること、産業としてプロセス化、エンジニアリング化して手法を確立すること、クリエーターの良し悪しを的確に判断できる目利きを要請することが必要だと述べた。
休息をはさんで第二部はプレゼンター4人に慶応大学土屋助教授、福富さん、国際IT財団の小野打主任研究員を加えたディスカッション。
トピックとしては

  • 経団連の利用者団体協議会、著作権関係団体とブロードバンド配信の料金合意
    • テレビドラマのストリーム配信をモデルとするシナリオ・音楽の料金→デジタル著作権
  • 通信・放送の融合
    • 放送事業の公共性と株式投資・経営権→放送法・電波法
    • PTVの著作権利用の適用→デジタル著作権・電気通信役務利用放送法
  • i-Pod等デジタルオーディオプレイヤーへの私的録音保証金の適用見送り
    • 新たなデジタル機器への対応・著作権利用補完制度の見直し→デジタル著作権

の3本が掲げられた。
主な発言としては
中村氏:3つのテーマは、中央官庁が仕切ってどうにかなる時代が終わった象徴。アカデミズムが立ち入る必要。憲法論などメタな議論が足りない。
月刊ニューメディア天野氏:日本のコンテンツ市場は0.1兆ドルでGDPの2.3%、これに対して米国では0.5兆ドルでGDPの4.6%。しかし、この統計では米国ではカジノやテーマパークも含まれているのに、日本では30兆円のパチンコが入ってない。これを含めると一気に米国と同じぐらいの比率になるはず。
金助教授:自由市場と規制を対立軸においていいのか。規制は必要だろう。アメリカはハリウッド中心の自由市場と見られているが、国際的には外国で自国の権利が守られているかなど、国が規制をしている。
廣瀬社長:政策が不要なわけではなく、表現の自由と交換の自由が制度的に保障されなければならない。文化が栄えるにはパトロンがいた。パトロンは目利きであることが必要。国は目利きのパトロンになれるか。
杉田参事官:政府が競争を担保することが必要。下請け保護など。地上波デジタルとIPマルチキャストはもう同じではないか。
福富教授:憲法には最低限の文化的生活保証とあるが、政策で守られてきたのは伝統文化と西洋ハイカルチャー。漫画など庶民的文化はどうしてだめなのか。CATVはすでに外資系がほぼ独占。外資でもいいじゃないか。パラマウントもカナダ資本や石油資本が入って再生した。
日経メディアラボ 坪田氏:携帯電話で話をしているのは、コンテンツではないのか。クリエータとプロデューサがいて流通し、お金が回っているだけがコンテンツではない。
経済産業省酒井氏:クリエータと産業のインセンティブは違う。お金儲けとコンテンツの創造性をどう結びつけるか。政府には無理じゃないだろうか。官庁の外から圧力をかけてほしい。
小野打研究員:コンテンツの話をしていて、経営学の話ばかりで経済学がない。戦略論を立てる前に全体像を知りたい。今、出版社で業績が伸びているのは自費出版を扱っているところ。著者がお金を払ってコンテンツを作っている。お金の流れがこれまでと違ってきている。
福富教授:コンテンツ市場について精度の高いデータがない。売れるコンテンツを作る方法を研究している人が皆無。データをそろえること、売れるコンテンツの作り方を教える本が必要。
土屋助教授:TV局買収とか、お金持ちに左右されない議論が必要だが、アカデミズムがさぼってきた。メディアの論理にふりまわされてはだめだ。
中村氏:若手が発表できる場を作ろう。コンテンツ政策のテキストを作りたい。
といったもの。
会場で入会申し込みを受け付けていたので、書類を提出する。
2次会は明治大学のレストランに場所を移して懇親会。会の性格上、大学の先生と官庁の人が多く、企業やコンテンツクリエータがほとんどいなかったのが気になる。

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