03/20 野球とロックと男の子 70年代女子高校生の物語『胸いっぱいの愛を』広谷鏡子

妻と高校の同期である広谷鏡子の青春小説。メインタイトルの「胸いっぱいの愛を」だとピンとこなくても、サブタイトルである「whole lotta love」から「ああ、Zeppelinか」と思い浮かぶ。1970年代中期の香川県丸亀市というか、丸亀高校を舞台に野球部マネージャーであり丸高のジミー・ペイジに心を寄せる女子高生の物語だ。

『胸いっぱいの愛を』
著者:広谷鏡子
出版社:徳間書店
定価:1,575円

主人公の高山佳子は76年、丸亀城南高校に入学し、同級生に誘われて野球部のマネージャーになる。彼女の目当ては3年生のピッチャー木内だ。野球のこともろくに知らず、オロオロしながら精一杯部員たちをバックアップする。彼女に次の転機が訪れたのは2学期の席替えで牛乳瓶底メガネのロック少女久永潤子と知り合ったことだった。

もともと兄の影響でブリティッシュロック、特にジミー・ペイジが大好きだった佳子は、エリック・クラプトンの写真を下敷きに挟んでいる潤子と友達になる。このクラプトンの写真がクリームでもデレク&ドミノズでもなく、ヤードバーズ時代のクラプトンというのがマニアックだ。

その年の文化祭で、佳子は隣のクラスのギタリスト川崎恭平に一目惚れしてしまう。恭平は丸高のジミー・ペイジなのだ。しかし、恭平には1年年上の「大人の女」、同じバンドのボーカリスト岡崎久実がつきまとっている。

川崎恭平からデートの誘いを受けながら、久実に引け目を感じた佳子は野球部の試合を優先し、断ってしまう。その日の試合は勝ったものの、結局、県大会で上位に進むことはできず、甲子園ははるか彼方に過ぎ去ってしまうのだが。

兄の浪人、父の隠し子騒動、恭平と久実の不純異性交遊騒動、コケティッシュな後輩女子マネージャーの登場・・・ いろんな事件が佳子を巻き込みながら、だんだんと大人になっていく。特に部員みんなを気遣う野球部のマネージャーとして、より大きな成長を遂げている。

ラストシーンは30年後、母校野球部が甲子園に出場することになり、昔のメンバーの消息を語るところで終わっている。彼女に恋心を抱いて、ファーストキスを奪ったざっきゃんは、ベルギー人と結婚。恭平は久実と結婚、兄は大学進学を諦めてスペインでコックに。そして佳子と潤子はいまだに独身でロックを楽しんでいる。

作者とぼくは4歳違う。76年にぼくは大学に入っていて軽音楽部でフュージョンをやっていた。ツェッペリンやグランドファンク、クラプトン、イーグルスにオールマン、ジャニスなんかは高校時代の思い出だ。そういえばあの時代のロックを語りながらディープ・パープルが出てこないのは、パープルコピーバンドやっていたぼくから見たら、なんか不自然。

それにジミー・ページって、ルックス格好いい? あばたもえくぼって奴かな。ジミーとフライングV(恭平が弾いていた)もミスマッチなような。やはりジミーにはレスポールだよなぁ。

挿入歌:
ハートブレイカー
レモンソング
21世紀の精神異常者
ボヘミアン・ラプソディー
イエロー・サブマリン
幻惑されて
岬巡り
胸いっぱいの愛を
ムーブ・オーバー
サマータイム
テイク・イット・イージー
ロコモーション
ホテル・カリフォルニア

丸亀は妻の実家があり、何度か行ってはいるけれど、実家以外はほとんど知らない。丸亀城も丸亀高校も見たことがない。去年、義父が亡くなったときには通夜と告別式で行ったけれど、香川滞在20時間という慌ただしさだった。いつかのんびり丸亀の街を歩いてみたいものだ。

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