岡山大学新聞 通刊238号 1978年9月30日発行

磁針

★前期の試験が始まったせいだろうか、ここ数日教育学部増築のクイ打ちの音が聞こえない。この新聞が出る頃には理学部の方でもクイ打ちが始まっているのかも知れないが、久しぶりに静かなキャンパスだ。
 静かと言えばなんとも最近静かすぎるのが教養や学館の北側、夏休みが終わってからまだアジテーションも聞かないし立て看の一枚も出ていない。春ごろから朝までにステッカーをはがす様になった学館のドアはキレイスッキリだ。
 時々ショボショボと「有時立法反対」のビラを配る人がいるくらいなものである。いったい近ごろの岡大キャンパスはどうなってしまったのだろうか。★今から十年前の九月十七日、三軒屋基地から帰って来たデモ隊の後にいたパトカーが大学構内である南北道路に侵入し、それを学生が糾弾すると突然百数十名の機動隊が乱入し、二名の学友を不当にも逮捕し去った。翌十八日から二十日までの三日間延べ千二百名の学生、教職員が結集して、不当逮捕抗議の学内集会、正門バリケード構築、西署及び県警に向けての市中抗議デモ、学長団交が貫徹された、キャンパスは燃えていた。これが一月二十日全学学生大会による五項目要求貫徹、全共斗結成という岡大斗争の直接の発火点だったのだ。★今を生きる(斗う)僕らは過去の栄光を思いうかべてうらやましがっているワケにはいかない。必要なのはこれからどうするのか、という事だ。大学斗争の中で失なわれた大学の自治=共同幻想にかわる新しい共同性をめざして今大学祭が進められている。本当の意味での活気あふれるキャンパスの再来はいつだろうか。


[ BACK ]